平成22年6月14日(月)
平成22年6月定例会 一般質問
質問者
(射水政志会) 高橋久和
質問文の全文および答弁の概要を掲載いたします。
また、発言のすべてについての「議事録」については、射水市議会ホームページの会議録で検索することができますが、6月定例会の掲載は8月末頃を予定しております。
「射水政志会」の高橋久和でございます。
議長のお許しを頂きまして、発言をさせていただきます。
昨年夏の総選挙において誕生した鳩山連立政権が、発足時での高支持率からは想像できなかったように8カ月余りの短命で退陣表明をし、今月の8日夜 新たに菅内閣が発足をしたことは皆さんご承知の通りだと思います。
鳩山政権の失敗の主たる要因は、政権交代を急ぐあまり「選挙に勝つことだけを念頭につくったマニフェスト(政権公約)を、財源や現状分析などを無視して押し通そうとしたことや、首相自身の理念や思いが先行し、余りにも場当たり的発言が多く問題解決の先送りをしたことが、政権崩壊というよりは政権投げ出しにつながったのではないか」と考えるのは私だけでしょうか。
菅政権では支持率回復のため、内閣や党役員の人事などでは 「脱鳩山」「脱小沢」のカラーを打ち出した事が功を奏したのか、世論調査における60%を超える高い支持率を受け、この勢いがあるうちに参議院選挙を戦いたいとの思惑から今国会の会期延長および参議院選挙日程が決定されたようでありますが、菅首相の所信表明演説を受けて行われる代表質問や予算委員会の開催日程を見るかぎり、今度の選挙での勝利のためには、「普天間飛行場移設」や「子ども手当の財源確保」など前政権が残した課題に対する対応や、特に緊急を要すると考えられる「口蹄疫」対策などの国会審議を後回しにしてまで選挙優先としている姿勢からは、「表向きの顔」を変えても、政権与党としての自覚の無さと、現実と乖離した理想を並べて有権者の期待を煽る作戦には疑問を抱かざるを得ないと感じております。
それでは通告書に従いまして、平成22年6月定例会における私、高橋久和の一般質問をさせていただきます。
【質問その1、統合庁舎について】
まずはじめに、「統合庁舎問題について」質問をいたします。
このことにつきましては、先の代表質問におきまして「社民党議員会」さんからもスケジュールについての質問があり、「市としては一定の方針を整理したうえで、庁舎のあり方についての検討委員会を設置し、早急に方向性を見いだしたい。」とのことであったかと記憶しておりますが、よく似た通告書を提出していた項目で、私にも質問の余地を残しておこうと言った小島議員さんの配慮があり、再質問でもそれに係る質問をされなかったのだろうと勝手に判断させていただきまして、関連したことも多くあるかとは思いますが、もう少し詳しくその内容に触れた質問をしたいと思います。
先ほどの私の所感でも申し上げましたが、鳩山前政権時代には余りにも場当たり的な発言が多く、政治家としての「言葉の重要性」ということについてあらためてその大切さを感じております。
夏野市長は、昨年12月の就任後初めての定例会見において「建設中止を打ち出した統合庁舎」については、「議論のたたき台となる 資料を改めてまとめたうえで、市民との意見交換会をスタートさせたい。」との想いを述べられて以来、早半年の月日が経過しております。
また3月定例会期間中には、一定条件のもとでのいくつかの考え方をお聞きいたしましたが、正直なところそれ以前との資料とあまり変わり映えのしない内容に少々がっかりいたしました。 が、就任以来の期間を考えればいたしかたないことかとも感じました。
以来、これまでの議会答弁などではこの問題に関しましては「形はともあれ統合庁舎建設ということになれば、財政的に考えても有利な合併特例債の活用にも期限があることから出来れば年内、遅くても年度内に(ある程度の)結論を見出したい」との夏野市長の発言があったと記憶いたしております。
また、これまでの「議論のたたき台となる資料」の提供状況からすれば、議会や市民目線からみて余りにも多くのパターンがありすぎ、当局サイドの検討過程(想い)が見えづらくなっているのではないでしょうか。
財源の確保が引き続き厳しいと予測されるなか、徹底した行財政改革を断行するとともに、より一層の行政サービスの向上を図るということから考えれば、「統合庁舎」の建設という基盤整備を確実に進める一方で、各地区にある行政センターや地区センター等のあり方。市内の重複した施設の統合や廃止、未利用地などの売却などの財政的都市基盤整備を含めて計画的な検討をし、「未来を託す次の世代への負担をできるだけ少なくするように、市有財産の運用状況をしっかりと精査し、無理な財政運用や不必要な歳出は行わない」といった基本姿勢のもとで、市民の皆さんにわかりやすいパターンを絞り込んで示すべきだと思います。
市長に就任以来、これまでの半年間の検討内容を精査されたうえで市民の皆さんとの意見交換へのタイムスケジュールや議会対応についての考えを示されることこそが、「庁舎問題」への取り組みにおける夏野市長が掲げられる「みえる・わかる・わかり合える行政」という基本姿勢ではないかと考えます。
現在、市議会においても「統合庁舎」に関する勉強会の開催や特別委員会の設置の検討等など、各会派内でもいろいろな意見がある状況であることから、さらに広く議論を積み重ね、限られた時間の中で納得のいく結論を得るためにも、当局の今後の対応と予定についてお尋ね致します。
【回答 夏野市長】
高橋議員質問の1点目、統合庁舎についてお答えいたします。
統合庁舎に関しては、これまでも申し上げておりますが、あらためて市民の皆さんのご意見を聴いた上で、市としての最終的な方針を決定したいと考えております。
先の小島議員の代表質問に対する市長政策室長答弁にもありまし
たが、合併特例債を活用して庁舎整備を行う場合には、日程的にも急ぐ必要があると考えております。
議員から庁舎の整備パターンや行財政改革の観点などから、パターンを絞り込んで示してはどうかとのご提案をいただきましたので、今後の対応と予定について、現時点での私の考えを申し上げます。
これまで、統合庁舎については賛否両論、様々な意見がありました。このため、本年3月定例会では、分庁方式の継続、統合庁舎への移行、さらには複数の庁舎への再編といった考え得るすべてのパターン別の経費をお示ししました。その後、各種団体での市長出前講座における市民の皆さんからのご意見を始め、今後も続くと思われる厳しい財政状況、行財政改革の推進、庁舎の老朽化への対応などを総合的に勘案しますと、将来にわたり現状どおりの形での分庁方式を継続していくことは極めて困難であると考えております。
従いまして、今後は、市民の皆さんへのサービスや利便性の確保、将来的な財政負担、行財政改革等のバランスを考慮しつつ、さらには、本市の発展に向けたビジョンや市民の一体感の醸成などを見据えながら、合併特例債等の有利な財源を活用した庁舎整備の在り方について集中的に検討し、できれば年内の方針決定に向け努力して参りたいと考えております。
その際には、議員各位のご意見も十分にお聴きしながら進めて参ります。
【質問その2、「子ども手当」について】
次に、「子ども手当」について質問をいたします。
昨年の総選挙における民主党の看板政策とも言われる「子ども手当」がこの6月からの支給が開始されました。
(射水市での支給は6月10日からの開始であったかと思います。)
当初からこの夏の参議院選挙を見込んで、その成果をアピールしたいことから事務を直接担当する市町村の準備期間に関係なく、
6月支給にこだわられたように感じております。
さて射水市においては、今年度当初予算に子ども手当として18億円の計上がされているわけでありますが、財源内訳としては国からの負担金などが約14億円、県の負担金が2億1千万円余り、市が2億円弱の内訳となっております。
当初、この手当に関しては全額国の負担で行われるような話であったかと思いますが、結果的には地方に昨年度までの児童手当分相当の財政負担を求めたことになりました。
また、来年度以降の支給額をめぐっては、公約した 月 / 2万6千円という満額支給に必要とされる年間5兆円を超える財源確保が困難だとして、今年度の 月 / 1万3千円から上積みする分の財源を自治体の判断で保育や給食などの現物給付に充てられるようにすることも検討されていたようですが、菅政権になってからの長妻厚生労働相の記者会見や枝野幹事長のインタビューなどからは、来年以降の「子ども手当」の見直しはやむを得ないとのことのようであります。
さてそこで、来年度以降の支給額が当初公約した 月 / 2万6千円というとなった場合、今年度は22年2月と3月分が児童手当であったため18億円の予算でしたが、来年度はこの「子ども手当」予算が約37億円、それ以降の年度では約40億円ほどになるのではないかと思います。
射水市の今年度一般会計当初予算が約367億円余りであることから、市の当初予算の10%を超える支出になる可能性があるかもしれないのであります。
射水市はこれまで「子育てしやすいまち、子どもを大切にするまち、全ての子どもの笑顔が輝くまち」を目指しさまざまな取り組みを進めてきたと考えます。
例えば今年度においても、夏野市長のマニフェストにもあった中学3年までの医療費助成を県内の市町村に先駆けて開始したことなどが挙げられると思いますが、但し、市の厳しい財政状況を十分に考慮して、学校給食に関してはこれまで以上に地域でとれる食材をより多くの機会に子どもたちに提供できるよう県外産との差額補償の充実にとどめたり、幼稚園や保育園での第3子以降の保育料の無料化については今後の重要な検討課題としたりしての現実に対応した苦渋の選択であったように感じております。
こうしたように射水市を含む地方自治体の財政状況が大変厳しい現状にもかかわらず、「子ども手当」は当市の一般会計当初予算の10%を超えるかもしれない状況をつくり出す可能性のあるマニフェスト政策なのであります。
「子ども手当法」では「子どもの成長及び発達に資することを目的にする」と規定されていますが、これだけのお金があるのなら、それぞれの地域にあったもっと効果的な子育て支援策が実行できるのではないでしょうか。
先ほど今年度予算における苦渋の選択の話をしましたが、第3子以降と言わず本当に困っている世帯の保育料の無料化や、給食にも食材のコスト差について補助するつもりならば、できるだけ地域(実質的には県内といった地域)の食材を取り入れた地産地消でのアイデアなどを絞れば、安全安心な食材の提供とともに地域内に様々な経済的効果を生み出すような施策の展開と、新たな連携ネットワークづくりができるのではないかと考えます。
また「子ども手当」が継続的に支給されれば、今後本市の財政状況が厳しさを増すことも予想されることから、市民の皆さんが必要とされている行政サービス全般の平等性を考えた場合、現在射水市として実施している児童福祉費の事業内容についても検討をしていかなければならない状態になるのではないかと考えます。
射水市として、今後「子ども手当」の上積み分の財源が自治体の判断で現物給付に充てられるようになった場合の対応と今後の児童福祉費の事業のあり方についての基本的な考え方をお尋ね致します。
【回答 松岡福祉保健部長】
議員ご質問の2番目、子ども手当についてお答えします。
議員が申されましたとおり、この子ども手当の財源につきましては、当初、全額を国の負担において支給するということで進められていたところであります。しかしながら、結果として、県や市町村も負担することとなりました。
ご心配いただきました本市の財源負担の点につきましては、支給する手当に必要な予算規模は、昨年度の児童手当分としての7億2千800万円から、今年度の児童手当を含む子ども手当分としての18億円へと大きく増えてはおりますが、本市が負担する一般財源ベースで比較しますと、いずれも約1億9千万円であり、ほぼ同じ規模となっております。本市としましては、地方負担なく子ども手当を支給するという当初の考え方を始めとする、適正なあり方について、全国市長会を通じ、国に強く要望しているところであります。
子ども手当が来年度以降、国の施策としてどのような形になっていくのかにつきましては色々と報道されているところではありますが、現時点において国の正式な方針が決定されていない中、現物給付の対応等、本市がどのような施策を講じていくかということについて、今ここでお答えすることは難しいところでございます。
また、今後の児童福祉費の事業のあり方につきましては、ご指摘いただきましたように、他の施策への展開あるいは現在の本市の児童福祉サービスの再検討なども視野にいれ、なおかつ、国の動向をしっかりと見極めた上で、慎重に対応したいと考えております。
いずれにいたしましても、子どもを生み育てやすいまちづくりの実現のため、今後とも継続して子育て支援施策を充実させていきたいと考えております。
【質問その3、窓口サービスの向上について】
次に、「窓口サービスの向上について」質問をいたします。
今年度、総務文教常任委員会では、静岡県富士市へ「証明書の自動交付機と窓口サービスの向上について」ということで行政視察に行ってまいりました。
富士市における説明の冒頭、「ワンストップ総合窓口」についてのお話を伺うことができました。
これは「市役所を訪れる市民の方の用件に、迅速かつ適切に対処することで、利用される市民の利便性の向上を図り、市民満足度の向上を目指す」ためのものであり、具体的には各種手続きを、できる限り、「一度の手続きで、かつ、一箇所の窓口で」行い、できる限り市民の方に「お待たせさせない」サービスの提供を目標として行われている窓口業務のことです。
射水市においても、今後、先に述べた統合庁舎や行政センターなどでは、専門的対応を必要としない各種手続きなどにおいては、 『住民目線に立ったわかりやすい窓口サービス』への検討が必要となってくるのではないかと考えます。
また、指定管理者による施設運営が増えつつある現在、射水市となってこれまで以上により多くの市民の方が利用される機会が増えるような施設が出てきていると思いますが、こうした施設の窓口業務ではその対応の仕方が以前の行政による自主運営と指定管理者による運営、そしてその場の窓口における担当者によって対応の違うことなど目立ってきているのではないでしょうか。
施設を利用される方にとっては、こうした窓口での対応一つでサービスの変化を感じられることがあるとお聞きしますが、公施設の「民営化」ともいえる指定管理者制度も、民間の能力を活用しつつ、サービスの向上を図ることが忘れられがちになり、単なる経費の削減だけを目指したものになってはいないか。 しっかりとした検証などが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
【回答 小井市長政策室長】
高橋議員ご質問の3点目、窓口サービスの向上についてお答えします。
市役所の窓口は市民にとって最も身近に行政と接する場であり、窓口の利便性を図ることは、市民満足度の向上に繋がるものと考えています。
このことを踏まえ、各行政センターの窓口における、事務の効率化を図り、各種手続について、できる限り「お待たせする」時間の短縮等に努めているところであります。
今のところ、窓口サービスの向上に向け、ご指摘の「ワンストップ総合窓口」や証明書自動交付機の設置をはじめとした窓口業務について調査研究をしており、今後の庁舎の在り方等と併せ検討して参りたいと考えております。
次に、指定管理者施設の窓口業務の検証についてですが、これまでもお答えしてきたとおり、施設利用者へのアンケートや年度終了後の業務状況評価の実施により、適正な管理運営の確保に努めているところであります。
ご指摘の窓口対応につきましては、利用者の満足度が向上するよう引き続き指定管理者と意見交換を行うなど、今後とも市民サービスの向上を重視した制度運用に努めて参ります。
【質問その4、野生動物による農作物被害などについて】
最後に、「野生動物による農作物被害などについて」質問をいたします。
県内の野生動物による農作物の被害は年々深刻化し、被害総額も1億5千万円に迫るとのことであります。
鳥獣の種類別被害額ではイノシシによるものが最も多く、次いでニホンザル、カラスの順だとのことですが、最近、射水市内においてもイノシシによると思われる農作物被害の痕跡が出始めていると聞きます。
県内での農作物被害額において、平成17年に89万円であったイノシシの被害額が昨年度には約40倍の3458万円になり、 さらに増える可能性があるとのこと、また捕獲数も平成20年度 127頭であったことから、特にイノシシは生体数の増加率も強く、平成23年度もしくは24年度には1000頭に達するのではないかと推計されているようであります。
これまでは、もっと山深い地域でのことかのように思われていた農作物への被害が、気候変動による冬期間の積雪量の減少などの 影響からか、野生動物自体の生息域が広域化し本市近くまで広がっているのではないか思われますが、今後の農作物に対する被害の拡大が懸念されるのではないでしょうか。
また、今年は県内においても熊の出没が例年に比べ、若干早いのではないかと思います。今月1日、南砺市福光地区において熊に襲われて2人の方が怪我をなされたとのことであります。
県内において熊による人身被害は約1年半ぶりのことであり、県は同日、ツキノワグマ出没警報を発令されました。
こうした矢先の、今月5日(土)、射水市内においても熊の目撃情報があったことから、先のイノシシ同様、熊についてもその生息域及び行動範囲の拡大が気になるところです。
これまで本市では、農作物被害額のトップはカラスによるものだったと思いますが、こうしたイノシシや熊、カモシカなどによる被害拡大にどのように対処される予定なのか。また、イノシシや熊は農作物被害と併せ人的被害に及ぶ危険性も多いことから、その対応についても併せてお尋ねするものであります。
【回答 竹内産業経済部長】
議員ご質問の4番目、野生動物による農作物被害などについてお答えいたします。
射水市内におきまして5月にはカモシカが、6月に入りツキノワグマが目撃されただけではなく、イノシシによるものと考えられる農作物への被害も発生しています。
また、このような状況は射水市に限らず県内全域において広がっており、一部ではツキノワグマによる人身被害も発生しているところであります。
そして、この現象は里山の荒廃や環境の変化により、野生動物の生息区域が変化し、人の生活範囲と重なることで目撃や事故の発生が多発しているものと考えられています。
そこで本市では昨年度に、自治会をはじめ鳥獣保護員や有害鳥獣捕獲隊等、関係機関による「射水市有害鳥獣対策協議会」を設立したところであり、野生鳥獣に対する情報の共有を図り、より効果的な対策についてさらに協議を進めていくこととしています。
基本的な方針としましては、大型獣については人身への被害を起こさないことを前提にし、追い払いを基本としながらも、ツキノワグマやイノシシの場合にあっては「箱わな」による捕獲や銃器の使用も視野に入れた対策としています。
また、今後、農作物への被害状況によっては電気柵の導入も検討していきたいと考えています。
なお、住民の皆さんへ人的な被害が起きないようにするため、これまでも、クマなどの出没情報などが入ってきたら、速やかに有害鳥獣捕獲隊の出動をはじめ防災無線や広報車のパトロールによって、その地域の皆さんに注意喚起を行ってきたところでありますが、今後とも徹底してゆく所存であります。併せて、里山を整備し、人と野生生物の住み分けについても努力していかなければならないと考えています。