港湾振興特別委員会 行政視察報告
函館港の概要
函館港は、北海道の南西部渡島半島の南端に位置し、太平洋と日本海を結ぶ津軽海峡に面した天然の良港で、室町時代前期頃から本州の商船が利用しており、その後、米・英・仏・蘭・露戸の修好通商を定めた「安政の5カ国条約」の締結により、1859年(安政6年)に横浜・長崎とともに我が国最初の貿易港として開港して以来、海の玄関口として本州との連絡など流通拠点として発展してきた港湾です。
当港の位置する函館市は、道南地域の中核都市として重要な役割を担っており、港湾に関する産業機能が集積されていると同時に豊かな観光資源を活かした国際観光都市を目指している。
主たる説明および質問に対する回答
函館港の全容と特徴については、説明資料および港湾案内図においてその 概要説明を受ける。
また事務所での説明後、港湾業務艇に乗船させていただき、函館港湾内より主たる埠頭や臨海部に位置する企業等についての説明を受けた。
函館港における取扱貨物量(H23年)は総量3,680万tであり、そのうち外貿131万t(輸入74万t、このうちセメント92%、輸出57万t、このうち石炭87%)、内貿3,549万t(移出1,864万t、このうちフェリー75%、セメント15%、移入1,688万t、このうちフェリー83%)であり、内貿・外貿ともに太平洋セメント(株)のセメントおよびその製造に係る原材料が主なものであった。
またフェリーについては、青函航路が北海道のフェリー取扱貨物量の27%を担っており、その特徴として青函航路は水産品、野菜や食料加工品など各一場に卸しながら輸送する貨物や、生体牛(その他畜産品)など飼育しながら輸送する貨物が多く、長距離航路と品種が異なることがうかがえる。
外貿コンテナに関しては、その内訳(H22年)として輸出6,060t(2,105TEU、このうち水産品が約68%、再利用資材15%)輸出23,142t(2,043TEU、このうち原木30%、化学工業品19%)となっており、週1便の外貿定期コンテナ航路(釜山を中心に函館を含む国内4港を回る)がある。
クルーズ客船の入港と函館港周辺の観光拠点に関しては、近年、国内外併せて年間約10隻程度のクルーズ客船が寄港している。(今年の寄港予定は、外航4隻、内航6隻の計10隻)
明治40年代に建てられた函館で最初の営業倉庫である金森赤レンガ倉庫はリニューアルされて開港の歴史が香るウォーターフロントでの中心的観光施設となっており、観光拠点としてのベイエリアには年間500万人が訪れるそうである。
私の所見
港湾業務艇に乗船させていただいた海上からの視察において、函館どつく(株)での造船状況を見ることができた。
北日本随一の造船と船舶修繕の拠点として、年間6〜7隻の新造船、海上自衛隊などの艦艇および各種船舶の修繕を行っており、函館の輸出金額のうち「船舶」の輸出が約8割であり、文字通り外貨を稼いでいる産業と言えるとのことである。
また、地元への効果として600名を超える雇用や毎年30名ほどの新規採用、一般資材の調達などにおいて函館ならではの大きな特色であると感じた。
最後にもう1点感じたことを付け加えたいと思う。
今回の資料において、旅客船の経済効果に関する試算が記載されていた。
函館港湾事務所の算定ではあるが、2006年の17隻(国内・外の船籍数は不明)入港時において、その経済効果を1億6千万円と試算せれている。こうしたデーター分析について、今後射水市においても必要不可欠な検討課題となってくるのではないだろうか。