議会改革に積極的に取り組んでおられます、兵庫県三田市および京都府亀岡市を訪ねました。
平成25年6月26日(水)〜27日(木)
今年度から議会力の向上を目指して、射水市議会 議会運営委員会や港湾振興およびいじめ・問題行動等の特別委員会においても行政視察をすることになったことは、以前にもこのHPにおいても報告を致しておりますが、6月26日(水)27日(木)の二日間において議会運営委員会の行政視察が行われました。
平成25年6月26日(水)
兵庫県 三田(さんだ)市を訪ねて
三田市は兵庫県の南西部に位置し、神戸市街地から六甲山系を越えて北へ約25km、大阪から北西へ約35kmの圏域にある、人口 約115,000人、面積 約210㎢、議員定数 24名の市です。
議会基本条例および政治倫理条例制定についてお聞きしました。
先ず、議会基本条例の制定に関しては、議会改革の取組みは平成16年度に「議会のあり方検討会」が設置されて以来、その担い手が「議会改革プロジェクトチーム」や「議会改革検討委員会」等と変遷を経ながら議論を重ねてきたが、一方で平成21年から三田市長の意向により、まちづくりを進めるための基本的な考え方やルールを定める「まちづくり基本条例」の策定作業が開始されました。
そしてそれは市民、議会、行政の三者がそれぞれで素案を作成し、それらをもとに一つの案を策定しようという全国でもまれな手法により進められることになったとのこと。
こうした中で、議会の役割についても議論することが求められ、(平成18年5月に北海道栗山町において、議会を統括する機能を備えた議会基本条例が制定されて以来、全国的にもそうした動きが広まっていたこともあり)三田市議会でも議会基本条例を制定する必要性を認識し、平成22年10月の臨時会において「議会基本条例検討特別委員会」が設置されることになりました。
以降、正副委員長がたたき台の条例案を作成し、各委員が項目ごとに条文案を委員会ごとに持ち帰り、主として北海道栗山町、京都府京丹後市、三重県、福島県会津若松市等の条文と比較しながら検討された。また、検討に当たっては自由討議を用い、各委員が自由闊達に意見を出し合われ、広島県呉市および山口県防府市等の先進地視察や宝塚市議会の議会報告会の視察、丹波市議会の議会基本条例市民説明会の視察等などを経て、平成24年1月から2月にかけて市内7会場での市民説明会の実施、その後のパブリックコメントおよび市民フォーラムにおいて意見徴収をした後、議決事件条例検討における当局との意見交換等を経て、平成24年6月26日に制定され同年7月1日から施行されました。
次に、政治倫理条例制定に関しては、平成18年は執行機関側で不祥事が相次ぎ、コンプライアンスを巡って大いに揺れたことから、同年10月1日に職員倫理条例が施行された。
当時の三田市議会においては政治倫理に関する申し合わせはあったものの、公職選挙法に関連する事項が主なものであったとのこと。
全国的に議会を取り巻く状況も、第28次地方制度調査会答申において「地方分権の推進に伴ない、地方公共団体の自己決定権およびその役割が拡大し、住民への説明責任を果たすことがますます重要になっているなかで、議会に対しても「多様な民意を反映するものになっていない。住民参加の取り組みが遅れている。行財政改革や公金支出への監視機能の強化。透明性の確保等など」厳しさが増している状況だったことなどから、平成19年2月に「政治倫理検討委員会」が設置され、三田市議会として開かれた議会、透明性の高い議会を目指すうえで議員に求められる倫理とはなにか議論されることになりました。
新宿区、立川市、宝塚市、長崎市等の条文を比較検討したり、尼崎市議会政治倫理条例について条例制定の経過を聞き取り調査する等され、平成19年12月に条例案を議長に報告、翌20年6月27日に制定され、同年10月1日から施行されました。
この他にも、議会報告会について。議会インターネット録画中継について等をお聞きしました。
私が特に感じたことと云えば、議会基本条例の策定に関しては「議会改革プロジェクトチーム」(H21年〜、24人に議員の内、20名参加)では議員定数と議会改革に2点に絞っての協議。「議会改革検討委員会」(H22年〜)では議員定数と基本条例についての協議がされていたことはごく一般的な議会改革の動きではないかと思いましたが、平成21年からの市長の意向で開始された「まちづくり基本条例」策定のタイミング。加えて言うなら、それを市民、議会、行政の三者がそれぞれ素案を作成されようとしたことが、市議会の基本条例策定の大きな後押しをしたことになったのではないか。と感じました。
また、議会基本条例素案の住民説明会を知らせる市議会だより臨時号(昨年1月)や今年4月から議会報告会の開催に関する市議会だより臨時号を見させていただきまして、議会側の情熱と住民の皆さんの関心の高さをあらためて感じたところです。
また、今回の視察についての経過および条例の中身に関しましては、議会事務局の方が中心として説明いただきましたが、質問などに関しては議長さんそして資料作成の中心的存在(だと感じましたが?)であろう議員さんから、議員間での協議過程等を交えて丁重な回答を頂きました。
この基本条例が1年半と云う期間の協議を経て検討されたこと、かつその検討に当たっては自由討議で行われ、各議員の方が自由闊達に意見を出し合われた結果から策定されたという熱い想いであろうと感じております。
平成25年6月27日(木)
京都府 亀岡(かめおか)市を訪ねて
亀岡市は京都都市圏および大阪都市圏の双方に隣接、京都府のほぼ中央美に位置し、地形は周囲を山に囲まれた盆地で、中央に保津川の清流が貫いている、人口 約92,000人、面積 約224㎢、議員定数 26名の市です。
議会改革の取組みについてお聞きしました。
亀岡市議会基本条例の前文には「憲法は、地方自治のあり方を定め、地方自治法によって・・・亀岡市議会は、市民の意思を代弁する合議制機関として、自ら公平性と透明性を保持するとともに、豊かな水と緑、先人が作り上げてきた悠久の歴史、伝統・文化を次代に引き継ぎ、市民参加と協働のもと、光り輝く未来につながるまちづくりを推進し、市民福祉の向上に全力を尽くすことを決意し、議会の最高規範としてこの条例を制定する。」と記されております。【紙面の都合で前文のご紹介はできませんが、関心のある方は亀岡市議会HPを】
議長さんの説明をお聞きする中に「亀岡らしさ」と度々出てまいりましたが、この前文こそが「議会基本条例」の全てで「亀岡らしさ」の象徴である。・・・とのことでした。
亀岡市議会における議会改革の取組みは、平成10年10月の議会運営委員会が「地方分権と市議会の活性化」について議論したこと(議会改革を検討する組織 第11期)から始まったとのことです。
その後、平成15年〜 議会活性化検討委員会(第13期)、平成20年〜 議会活性化推進委員会(第14期)、平成23年〜 議会改革推進特別委員会(第15期)と云うような組織において議会改革が検討され、平成25年3月以降は議会運営委員会において協議されました。
年次を追った主な取り組みとしては、平成12年に議長交際費の(政務調査費を含む)
使途などの公開、議員定数の削減 第12期(平成15年〜)30人から28人へ、第13期 (平成19年〜)28人から26人へ、第14期(現在)議会活性化推進委員会、議会運営委員会、全員協議会で検討し定数の変更なしとする。平成16年から質問での一問一答方式の導入が検討され、現在一般質問において一括質問方式と一問一答方式の選択制とされている。平成18年から費用弁償、審議会委員の報酬廃止。所管事項調査のための常任委員会月例開催。平成20年、政治倫理条例の制定。平成20年、USBメモリーによる通告書提出。平成21年、携帯メールによる連絡事項等の議員への配信。本会議休日開催、日曜議会(平成14年 傍聴者74名)、土曜議会(平成22年 傍聴者59名、平成24年 傍聴者96名、平成25年 傍聴者25名)。平成22年 議会基本条例の制定。平成22年 議会報告会の開催。平成22年 事務事業評価の実施。平成23年 会議へのPC等情報端末の持ち込み許可(但し、発信は不可)。平成24年 文書質問実施。平成25年 政策研究会制度の発足。・・・等など。
この中で議会基本条例や倫理条例以外で私なりに関心があったのは、
「常任委員会月例開催」
常任委員会の所管事項調査として、重点施策の経過等について執行機関からの説明を受けたり、審議会の状況報告等のため毎月常任委員会を開催するとのこと。
「文書質問」閉会日の翌日から、次定例会の開会日の2週間前までの間で、各閉会期間中1議員、1回、1項目のみ質問でき、質問文を議長に提出、議長が適当と認めたものを市長に送付し、基本的に2週間を回答期限とし、質問および回答を公開、その都度各議員にも配布するとのこと。
「政策研究会制度」議員3人以上で、テーマを決め研究会を結成し、議会運営委員会の承認を得て活動し、その成果を議会運営委員会に報告。議会運営委員会はその取り扱いを決定するとのこと。
政策提案・提言への道筋として、政策研究会は協議の場としての位置付けとか。・・・等など、こうした取り組みにも「亀岡らしさ」を感じました。
最後に、今回視察させていただきました三田市議会および亀岡市市議会の両市とも、議会改革の先進議会として多くの視察を受け入れられているとか・・・?
両市議会の議長さんや質問に答えていただいた議員さんの答弁からは、ご自身自らが汗を流し、激論を戦い合せ、ご苦労されて今の議会を築きあげてきたという強い自負心を感じた視察であったと感じております。