愛媛県宇和島市役所及びJAえひめ南 伊予吉田営農センターJAえひめ南 伊予吉田営農センターを訪ねて!
平成29年3月29日(水曜日)
愛媛県宇和島市役所を尋ねる!
1、事業実施に至るまでの市の関与、取組について(二宮氏)
当初、愛媛県からJA えひめ南に事業委託の問い合わせがあり、市としての関与は無し。その後、昨年の10月に県からJA や市への説明会があった。
市としては「移住定住事業に関連した事業」と考えて、できる範囲での協力を検討。
事業受け入れを前提として「宿泊施設の確保」が課題となるも、当時「ふるさとワーキングホリデー」(以下、ワーホリとして記載)への対応策では無かったが、整備中であった『みかんの里支援施設』の活用で対応することとなる。
2、JA との連携、支援に関して(梅崎氏)
『みかんの里支援施設』は鉄骨造三階建、共用の食堂やバストイレ洗面所のほか、居室20部屋、管理人室などが整備されているもので、吉田地区を中心とした柑橘農家の援農アルバイター等が宿泊できる場所として、平成27〜28年で整備された建物。(施設整備費、20、662千円)
この施設を市からJA えひめ南に無償貸与し、JAが運営主体として柔軟な利用方法を検討してもらうことになる。
3、市の費用負担、効果、その他参考となる事項(和田氏)
『みかんの里支援施設』整備費は前述の通りでありワーホリのための事業では無かったが、結果的に施設整備されたタイミングが良かったと言える。
事業受け入れ状況としては、好評だった(一部、宿泊施設での対応ができずお断りしていたことも含め)と考えられる。
参加者はやはり学生さんが多く、宿泊施設にWi-Fiへの対応が必要と思えた。
また、二週間以上が事業対象期間とされていたことを含め、国の補助事業としての縛りがきつすぎるのでは?とも感じられたそうである。
例えば、この補助では旅費に関して一切の支出(県内での移動費はOK)が認められず、1日六千円とさせていただいたアルバイト賃から食費や宿泊費(みかんの里支援施設で受け入れができなかった場合)などを差し引きした(国の規定通りに自己負担とした場合)場合、こうした制限の中で学生さん達が再度(リピーターとして)参加していただけるものかどうか?不安を感じられ、市としての 「移住定住事業へつながるのでは?」との考え方と国の事業への考え方が、根本のところで違っているのではないか?…との事であった。
【総括】
本事業自体が昨年の補正で予算化され、国からの通達後、約二週間余りでの応募締め切りであったことから、事業趣旨ということに関して国と基礎的自治体(今回は宇和島市)との共通理解が得づらかったのではないかと感じた。
県からJA に直接事業委託の問い合わせがあったことからも、国は基礎的自治体の関与と言うことについて、余り期待をしていないのかも?・・・とも受け取れた。
また、宇和島市では以前から「就農体験」や「農業就業者支援」事業が行われており、先の『みかんの里支援施設整備』もこうした事業の一環といえる。
例えば『農業就業者支援事業』(A+B)を紹介すれば
A,移住新規就農者に対し新規就業支援金(最大226万円)
内、就業支援金106万円(1、就業支度金36万円 2、定住支援金70万円)
住宅支援金120万円
B、指導育成費240万円(10万円×24カ月。2年間で農業経営のノウハウを取得)等があり、高齢化が進み基幹産業である柑橘栽培の衰退防止策として市独自の助成策として整備されている。…とのことであり、こうした事業実績などから(募集から受け入れまで)急な事業通達であったにもかかわらず、対応できたのではないか?…とも感じられた。
【追記】宇和島市は本市の姉妹都市である長野県千曲市の姉妹都市であることから、議長名 および市長名でそれぞれのメッセージを赤松議長および笹山副市長に手渡すとともに懇談し、千曲市つながりでの姉妹都市交流についても意見交換を行った。
平成29年3月30日(木曜日)
JAえひめ南 伊予吉田営農センターを訪ねる!
JA えひめ南 伊予吉田営農センターを訪ね、センター長代理の清家さんから「えひめ版農業ワーキングホリデー推進事業」略して「えひめ・みきゃんワーホリ」(以下、ワーホリとして記載)の実施状況等についてお聞きした。
清家さんからは我々の視察の件も去ることながら、昨日、国(総務省)より実施状況に関するヒアリングがあり、今回(この一月から三月まで)の実績として愛媛県がNo 1で、本年度予算の執行状況(国が想像していたより支出が抑えられたようで)から考えてみても、来年度(平成29年度)も実施していただけないか?・・・と言うような問い合わせがあったとか?
愛媛県でのワーホリは県とJA が主体となって進め、この二月には総務省からの視察もあり、本年1月10日から3月31日までの期間で41名の受け入れがされたとのことでした。
但し、今回受け入れの41名という数字はあくまで14日間以上(ワーホリとしての最短受け入れ条件日数)就労の方々の合計で、実際には5日〜10日程度就労の方もおられたとか?
今回、ワーホリに関する問い合わせ総数は計81件であり、ここら辺りの(特に学生さん)就労条件に関する検討も必要ではないか?・・・との事でした。
以下、「えひめ・みきゃんワーホリ」のイメージを記載すると
南与地域に広く県外から大学生などを受け入れ、若者が柑橘収穫作業等に関わりながら、多彩な地域行事などにも参加し田舎暮らしを体験することにより、将来的な担い手の掘り起こしや、えひめ農業の魅力発信、地域の活性化につながる「人と情報」の流れを創出する。…という目的で、県は国から業務を受託して「全体コーディネイト」をするとともに、事業委託者であるJAとともに参加者の募集を募り県外の大学生などの若者への情報発信。
JAは県との参加者募集から、参加者および受け入れ農家の決定(具体的には申し込みの受付から受け入れの準備まで)および交流イベントの実施(料理作りや柑橘ジュースの飲み比べ等)というイメージであったが、実際は宿泊所(みかんの里支援施設)での受け入れや雨の日の作業対応(選果場や直販所での作業)まで、多種多様だったとか?
また、この事業として負担可能な内容としては、参加者募集に係る費用や各種保険料。作業着や使用する道具代。オリエンテーションや交流イベントに係る費用。宿泊費の一部や県内での(作業に携わるための)交通費等などであり、参加者の自己負担となるものとしては県外からの移動旅費や助成対象外の宿泊費。食事代(昼食代も含む)等など。・・であり給料(アルバイト代)は生産者からの支払いとなっていたそうです。
当初においては500万円強の予算を想定されていたそうですが、最終的には参加者の募集関係で焼20万円、ワーホリ本体約210万円(宿泊費の補助100万円、自転車リース代40万円、作業着などの備品購入30万円、県内旅費40万円、レンタカー16万円など)、交流イベント代約50万円等などで、支出総額約280万円となったそうです。
以下、清家さんの感想として
若い人が多く(たぶん市が行ってきた他の事業参加者年齢に比べてか?)、女性7割男性3割だった。
四国へ来たのが初めての人が9割。当然「宇和島市」と言う市を知ったのも、みかんの収穫という農作業も初めての人ばかりではあったが、参加者(農家さんにも)の方にもほぼ好評だった。
但し、大きな問題とはならなかったものの、アルバイトの方と農家さんの「意識の違い」を感じた事があった。
うれしい誤算といえば、みかんを含む柑橘類の販売促進キャンペーンで関東方面に出向いた際、東大みかんクラブのメンバーや今回参加の一部の皆さんがSNSでの情報発信や販売所でのPR活動に積極的(あくまでボランティアでの)に関わっていただけたことがあったとの事でした。
【総括】
ワーホリ自体が国から県への受託、県から企業(事業者)への委託となっている事業なのでしょうが、何か新聞記事に出ていた内容(地方創生や定住移住促進といったような基礎的自治体が抱えている問題に寄与できるような)と実態が違っているのでは?・・・と感じてしまったが、一番大変だったのは事業を委託されたJAさん(担当の清家さん)であったことだけは間違いのないところであろう。
こうした企業(事業者)を自治体(市)がどういった形でバックアップできるかがワーホリをもっと広く事業展開できるかどうか?のキーだと感じた次第である。