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2017-06-02 07:29:38
名古屋港を「世界に発信する次世代港湾へ」日本初の自働化コンテナターミナル
平成29年2月14日(火)

愛知県海部郡飛島村において「船社・浩運・陸運」三業種が連携して、アジアを代表するコンテナターミナルを目指して開設された「飛島コンテナ埠頭株式会社」を視察させていただきました。

この会社は2003年に設立され、その後スーパー中枢港湾の名古屋港モデルバースとして、地域産業・経済の発展をミッションに2005年に機械化するだけの自動化ではなく、安全で働く人に優しく、働く人たちが知恵を出し、やりがいをもって進化し続けることが出来る“にんべん”のついた自働化を追求されてきたそうです。

その代表的設備として
GC (ガントリークレーン)
大水深(−16m)岸壁にそびえたつガントリークレーンは、世界最大級コンテナ船に対応できるよう、高規格で軽量化が図られるモノボックスタイプのもので、地震対策として免震機能(大きな揺れでピンが外れ、倒壊しない構造とのこと)を有し、耐震岸壁と合わせて「安心・安全」な岸壁設備となっている。

RTG (自働化ラバータイヤ式ガントリークレーン)
世界ではじめて自働化を実現されたラバー式の門型クレーン。
レール式門型クレーンと比べて設備投資費用の軽減、地震対策等のメリットがあります。

AGV (自働搬送台車)
AGV はRTG ・GC とのムラのない連携で、ターミナル全体の稼働状況を考慮したベストパフォーマンスで「本船荷役作業・構内シフト作業」にて高いサイクルタイムを実現しているそうです。

これらの説明を頂いたのは、飛島コンテナ埠頭株式会社の出資会社のひとつ、旭運輸株式会社のターミナルグループ長の伊藤さんと、同じく旭運輸からオペレーショングループ チームリーダーとして出向されている岩田さんの御両名でしたが、説明の後、会議室横の屋上からコンテナヤードを見渡しながら、幾つかの私なりの質問にも答えていただきました。

【質問その1】
安全性と高齢化に対応した「日本初の自働化コンテナターミナル」ということで説明を頂いたが、ここのターミナルが出来て以降、同様の機能を持ったコンテナターミナルは(国内に)あるのか?
【回答:伊藤さん】
このターミナルは、スーパー中枢港湾の名古屋港モデルバースとして開業したが、業界組合の中では労働者の切り捨てに繋がるのではないか?といった考え方もあり、同じようなバース機能を有したターミナルは出来ていない。
但し、ガントリークレーンや門型クレーン等の操縦席は、特に夏場(空調設備はあるがー)の暑さや、昇降を含む労働時間・環境への対応等、今後作業員の高齢化に伴う要望・改善が必要であり、このモデル環境に似たものが増えてくるであろう。

【質問その2】
伏木富山港はロシア(ウラジオストク)向けの最終寄港港としてのコンテナルートを持っており、特に東海北陸自動車道が開通したおり、中部圏域からのコンテナが増えるのでは?と期待をしたが、それほどの需要がない状況である。
この事に関連して、以前中京圏の経済界の人からの意見として、東海北陸自動車道が一部で相互通行(一車線)であり、特に冬場の安全・確実性の確保という点でのリスクが有りすぎるということを聞いたことがあるのだが、コンテナを扱っておられる立場からのご意見は?

【回答:岩田さん】
陸送でのリスクはあると思う。
そういった意味では、自動車道の複線化が有効だと思う。
また、ここ(飛島コンテナヤード)の近くにJR の貨物基地駅があるのだが、伏木富山港の近くまでコンテナを(繋げて)運ぶ手段(JR貨物のような)があれば、中京圏域からのコンテナ物流も増えるのでは?


この後、オペレーションルームも見せていただきましたが、有人トレーラーとコンテナの出し入れ(門型クレーンとトレーラーの荷降しと積込み)時の接続のタイミングのみ、手動運転での操作が必要とのことでして、3台のモニターに順次映し出されてくる門型クレーンから見下ろしている状況の画像とオペレーターの操作の手早さに圧倒されてしまいましたが、従来ならこの作業はクレーン上の操作室で行っており、特に夏場の暑さや昇降時の危険性、操作室の密閉性(誰もほかに人がいないので)、そしてオペレーターの数(一クレーンに一人のオペレーターが必要なので)などの問題解決になっている!との説明も十分に理解できる状況を見させていただきました。

伏木富山港を含む多くの港でも、近い将来にはきっとこのような「自働化」の必要性が増えてくるのであろう!と感じた次第です。
JDM
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