
平成28年6月30日(木)
参加者:南郷の里山を考える会
顧 問:池田國男、事務局長:高橋久和
射水市より約4時間(昼食をはさんで)、「地域の交流の場を創出し、高齢者の知恵を活かした地域活動」への取り組をされている『魚沼園芸、ものずき村』を訪ね、昨年からの取り組みとしてはじめられた「笹の葉」の収穫から保存、そして販売への取り組みについて、現場の視察と聞き取り研修をさせていただきました。
先ず、魚沼市の中でも「ものずき村」のある山の麓の地区自体が、本市に比べ自然環境に恵まれ、笹に限らず「山の恵み」を身近に感じて生活をされている地区なのであろうと感じました。
現地視察させて頂いた「笹の葉」の収穫地は、自動車が一台やっと通れるような山道(舗装はされておりましたが)を約2kmほど登った、農業用ため池近くの傾斜地で林道脇にあり、比較的容易に収穫できる場所の一つだそうです。
この傾斜地は(お尋ねしたところ)ほぼ南向きの斜面で、日陰を作るような高木樹の林内ではなく、背丈の低い雑木(草)交じりの斜面であり、林道から溜め池の堤防下に向け、比較的「水はけ」が良いのであろうと推察できるような地形だったと思います。
また、土壌の栄養分も豊富なのか、笹の茎の太さや背丈も本市の笹に比べ、太く高い物が多く、かつ1年物(以前の本市内現地視察時に、県森林研究所 長谷川上席専門員からその見分け方を教えて頂いていたので)の「笹」が多いと感じました。
なぜ、1年物が多いのか?と言う事に関しましては、ここらあたりの積雪量が3m前後あり、古い笹自体が雪の重みで押しつぶされてしまう事から、古い笹の茎より芽吹く「2年目の笹」より、春先に新しく芽吹く1年物の方が多いのでは?とのご意見を頂きました。
「笹の葉」の収穫は6月から(今年は暖冬の影響もあって?5月末からだったとか)7月の中旬くらいまでの約一ヶ月半ほどが適しており、一本の茎より芽出る葉が約5枚、その内の2〜3枚を取るのだそうでありますが、早摘み(若青葉)の葉は収穫後に丸まってしまうので適さず、7月中旬以降の葉は縦割れ(繊維方向の割け)しやすくなるのでこれも適さないとの事でした。
「ものずき村」では、摘み取り後の「笹の葉」を濡れタオルで拭き取り(表面に大気中の汚れが付いている場合があるとの事)、その大きさ別に大・小(基準となる定型版あり、受け入れ価格は同額)二つに別け、50枚を一束として二束(100枚)づつで輪ゴムで束ね、冷凍庫に入れて保存をしているそうです。
冷凍庫(日本政策銀行からの補助融資で購入された?とか)での保存状況も見させていただきましたが、「昨年からの取り組み(笹の葉の収穫自体が)のため、どれくらいの期間保存できるかは、不明?」との事でした。
現在は、業者さん(どうも「笹団子」用に使われているらしい?)からの引き合いが順調に入り「冷凍庫での長期保存しておく必要もない。」と言う事です。
昨年は「笹の葉」の摘み取りに出役頂いた人が約20名で、約26万枚を収穫し収入額が約60万円(2円50銭 / 1枚)あったとの事でして、今年は収入予定額を100万円と想定し、40万枚の収穫を目標として事業の拡大を図られましたが、現時点では(予定ではもう2週間ほどの期限があるので)今シーズン思っていたほどの実績があがっていないそうであります。
その原因のひとつには、昨年から「笹の葉」摘みを始められた結果、同じようなメンバーで作業を行っている関係上、摘みやすい場所(それぞれの人で違ってはいても)が昨年と変わらず、笹の生育状況が昨年より悪かったのではないか?との事でした。
地区内では山林部が多いため笹はどこにでもありますが、摘み取り作業をしていただける方の高齢化を考えれば、家の近くで比較的積みやすい場所での収穫が今後とも続くのではないかと?との話も出ておりました。
笹山の現地視察からの帰り道、山道沿いの「ワラビ畑(人工管理の)」や「ブルーベリー畑」桐の木を抉っての「ミツバチの巣箱」などの説明も受けましたが、(ものずき村の)仲丸村長さん以下、会員(現在登録者は約200名ほどとか)の皆さんの「高齢者の知恵を活かした地域活性化」と言う事に対する熱き想いを感じ取れた現地視察だったと感じております。