
平成26年11月4日(火)
吉の浦火力発電所では、電力の安定供給と地球温暖化防止に向け温室効果ガス削減を図る事を目的に、沖縄電力初の液化天然ガス(LNG)を燃料とするコンバインドサイクル発電方式を採用され、平成24年11月に1号機(251MW)、平成25年5月に2号機(251MW)が運転開始されている発電所です。
新聞報道などで皆様ご承知の通り、北陸電力では富山新港火力発電所(射水市堀江千石地内)石炭1号機をリプレース(更新)し、CO2排出量を大幅に低減できるLNGを燃料とする初の発電設備(424.7MW)を導入する計画が進んでおり、来年度には建設工事の着工、運転開始予定が平成30年度と予定されておりますので、直近に完成した同一の発電方式(コンバインドサイクル発電方式)であると同時に、立地場所と民家が比較的近いとされる「吉の浦火力発電所」の視察を実施したところであります。
LNGコンバインドサイクル発電とは、LNGの燃焼ガスの力で回すガスタービンと、その排熱を回収して回す蒸気タービンを組合わせた「熱効率の高い複合発電方式」で、エネルギーの無駄が少なく同じ量の燃料からより多くの電気を作る事が可能で、その結果としてCO2排出量が抑えられる事になるのだそうです。
因みに頂いたデータでは、LNG(液化天然ガス)は燃焼ガスとしてのCO2排出量が石炭の40%減、石油の25%減(但し、石油は石炭の20%減)と少ないうえに、その主成分であるメタンガスを液化する(マイナス162度まで冷却)過程において、大気汚染や酸性雨の原因となる不純物となる炭酸ガスや硫黄分などを「ほぼ100%取り除く事が出来る」環境にやさしいクリーンな燃料とされております。
施設内見学において私の目に着いたのは、タービン建屋はさほど大きくないのですが、LNGの貯蔵タンクの大きい事(吉の浦には高さ約49mの14万㎥級タンクが2基)と、敷地内(3・4号用地としての空き地)にマルチタービンの発電所が建設中だった事でした。
そうした事もあり施設見学後の質問をさせて頂きました。
【質問】見学をさせて頂いた施設において、貯蔵タンクが想像以上に大きい(新港火力の貯蔵タンクは高さが60mを越える18万㎥級1基)と感じている。
説明時において建屋の外観などには世界遺産である「中城城跡」の色合いも考慮されたと説明されたが、(これだけ目立つ)貯蔵タンクを(地震災害時における安全性の確保は当然の事として)半地下式などに検討された経緯はないのか?
【回答】そうした検討は無かった。
構造的には、西日本における同様施設のタンク形式がここと同じ「プレストレストコンクリート、地上式」であり、将来の保守点検などということから考えても、妥当な構造と考えている。
【質問】LNGタンクのところに「ここは海抜3m・津波に注意」の看板があったが、マルチタービンの発電所が建設されているところは、現在の敷地地盤よりさらに(私の視た目で3mほど)盛土をされて建屋の建設がされているが、マルチタービンの発電所は災害時での津波対策を想定されてのものなのか?
【回答】この施設(吉の浦火力発電所)自体の計画は平成14年に中城村の誘致要請から始まり、平成19年からの工事着工、平成24年11月の1号機運転開始となっており、マルチタービン発電所の建設は東日本大震災(平成23年3月)以降の対策としての一面も当然あるが、災害時ばかりでなく、この発電所への燃料が(突発的な事も含めて、もちろんLNG以外の燃料でもOK)いかなる状況にも対応でき、必要最低限の電力供給(吉の浦火力発電所として送電すべきエリアの)である3万5千kwの発電が出来る設備として建設されている。
・・・との事でした。
富山新港火力発電所においてこのLNG発電設備が完成すれば、燃料としてL
NG、石炭、重油、原油とバリエーションが増えるわけでして、そうしたなか
で効率性に優れかつ環境に配慮された安定した電力供給が出来る事を願うとこ
ろです。