
港湾振興特別委員会 行政視察
小樽港の概要
小樽港は、北海道における政治・経済の中心地である札幌市をはじめとする道央地域を背後圏に持ち、日本海側拠点港として重要な役割を担っている。
同港は明治32年、石狩炭田の開発に伴なう石炭の積み出し港として開港し、北海道開発の拠点として今日まで発展してきた。新潟港、敦賀港、舞鶴港との間に新日本海フェリーが定期航路を開設していたが、1999年に新潟航路の一部、2002年に敦賀航路が相次いで苫小牧港にシフトしたほか、残った航路でも減便が相次ぎ、貨物量がここ10年で半減している。
2010年に重要港湾の選定から漏れた(選定されたのは近隣の石狩湾新港)ものの、2011年には外航クルーズの日本海側拠点港として小樽港、伏木富山港、京都舞鶴港の三港連名での指定を受けている。
主たる説明および質問に対する回答
小樽港の全容と特徴については、航空写真および港要覧においてその概要説明を受ける。
日本海側』拠点港の外航クルーズ部門の選定を受け、今後の港湾機能の強化と外国船誘致に向けた取り組みについて(外国船、国内船の寄港状況と対応(施設整備)についての質問を含む)は、同港へのクルーズ客船寄港状況において、平成18年頃から日本船および外国船の客船寄港数が増えている実績がうかがえる。(但し、昨年は震災の影響で日本船1隻、外国船1隻、台風の影響で外国船が1隻キャンセルされたとか?)
今年(平成24年)は日本船12隻、外国船7隻、計19隻の寄港が予定されており、寄港する客船のうちでの最大客船は(伏木富山港への外国客船として寄港予定だったが、前港の天候の関係で伏木港には寄港できなかった)レジェンド・オブ・ザ・シーズ(69,130t)が4月と6月の2回に寄港している。
近年、客船(日本船、外国船とも)及び貨物船も大型化の傾向があり、接岸できる岸壁(レジェンド・オブ・ザ・シーズが接岸したのは勝納埠頭)の機能強化(水深はあるが、係船柱および岸壁自身の強化や耐震化)を検討しているとのことである。また、外国客船の入港に関しては接岸エリアを規制する必要があり、通常時における外国船が接岸する第三号埠頭(説明の後に現地視察も実施)での岸壁の延伸なども含め、港湾整備での優先順?に課題点も多いと実感した。
フェリー貨物と旅客の状況については、同港における取扱貨物量の多くがフェリーによる内貿によるものである。先の同港の概要でも述べられている通り、定期航路寄港地の変更によりフェリー貨物および旅客とも減少している現状である。小樽港中央部の勝納4,5号岸壁はフェリー専用で2隻同時接岸が可能な岸壁で、外見がユニークなフェリーターミナルまで専用の歩廊でつながっており、港内でひときわ目立っている施設だと感じた。
私の所見
近年の小樽市は、北海道第一の都市である札幌市から程近く、石炭の積み出しやニシンやサケ漁と云った北海道を代表する産業の伝承地として、また、小樽運河と云う歴史的遺産をうまく活用しての観光産業の発展により、年間600万人の方が訪れるとのことである。
小樽港の港湾管理者は小樽市(北海道での港湾管理者はそれぞれの市町村の場合が多いとのこと)であることから、港の中心部から歩いていける範囲に小樽運河や北一硝子などを代表とする伝統産業を中心とした観光市街地があることや、現在の外国船接岸岸壁である第3号埠頭16番岸壁からJR小樽駅までがほぼ一直線の道路でつながっていることにされている事等など、今後ますます観光都市としての港湾整備が主として進められるのではないかと強く感じた。