第4 議員定数について
1 検討の背景
平成23年の地方自治法の一部改正により、地方議会の自由度の拡大等の観点から、議員定数の法定上限が撤廃され、定数については、それぞれの議会において、しっかりとした基準、根拠によって自ら責任をもって決める時代となった。
これを受け、今回、議員定数の算出根拠を求めるのに最適な方法を検討した。
2 具体的な検討の進め方
「議会機能を適正に方向づけ高める要素」であり、同時に「議会活動を分担する要素」であるとの共通認識を得、調査・検討の基本的な考え方、方法を次のようにした。
考え方:現在の議会の在り方である委員会中心主義を前提とする。
第1段階:議会が持つ機能を整理する。
第2段階:その機能を維持し、そして、将来に向けてより高めるために議会に必要かつ求められる性質を明らかにする。
第3段階:その性質を高めるために必要な議員数を調査・検討する。
3 常任委員会等の在り方
議会の在り方として、委員会中心主義を前提とすることから、現状の常任委員会等について考えるとすれば、本市議会においては、総務文教・民生病院・産業建設の3常任委員会が設置されている。
委員会数についての科学的な根拠を示すことはできないが、一般的に一般会計規模及び執行機関の組織体系によって委員会数やその所管が決まるとされており、一般会計規模3
00億円から500億円では、3又は4常任委員会が標準とされている。
4 本市における適正な議員定数の検討
ア 討議性を高めるために必要な議員数
委員会における討議性に適した委員数について、多様性かつ効率性を担保するのに必要十分な人数は、6人から8人である。
イ 専門性を高めるために必要な議員数
専門性を高め、確立し、審議に集中する環境を設定する必要性から、議員は1つの委員会に専任することが望ましい。
ウ 市民性を高めるために必要な議員数
住民の多様な意見を吸収し、市政に反映するために、本市の地域性と成り立ち等から地域振興会数にも配慮した数とすることが望ましい。
エ 議会運営性を高めるために必要な議員数
公正、透明性を確保し、市民に対して開かれた分かりやすい議会、合議体、多様性等の議会の特質を最大限に生かした議会、これらを基本として議会運営を行うために必要な議員数は、上記3点を総合的に加味した数となる。
オ 類似団体との比較
人口が同規模の類似団体と比較をすると、本市の議員定数はほぼ平均である。
面積が同規模の類似団体と比較をすると、本市の議員定数はほぼ平均である。
財政規模が同規模の類似団体と比較をすると、本市の議員定数はほぼ平均である。
5 議会改革特別委員会での主な意見
・ 議員数について科学的根拠を示すことはできないが、討議性、専門性、市民性、多様性を考慮し、各委員の経験則に基づき導き出した7人を常任委員会の定数とすることが適当と考え、7人×3常任委員会=21人を議員定数とすることが妥当と考える。
・ これまで議員定数を数回削減してきており、現行の議員定数が類似団体のほぼ平均であること、また、多様な人材が議員になることを推進する観点から、現行の議員定数のとおり22人とすることが適当と考える。
第5 議員報酬等について
1 検討の背景
(1)議員報酬について
議会が議員報酬について検討する際は、行政改革の視点だけでなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を考慮する必要があり、また、改正する場合は基準等の明確な改正理由が求められるものと考えられる。
(2)合併協議会における議員報酬の考え方等について
「射水地区広域圏合併協議会」における「議員報酬」に関する協議では、県内10市のうち富山市、高岡市に次ぐ第3の都市として「議員報酬」は50万円を基準として想定されていたが、定数特例を適用し、当初の定数30人のところ35人としたことから、35分の30を乗じて43万円となった経緯がある。
平成21年の選挙から大選挙区制に移行するとともに、議員定数も26人、22人へと削減されてきたが、交付税の一本算定に対する財源の確保や学校などの耐震化対策、新庁舎の建設などの大型事業を控えている状況下において、「議員報酬を元に戻す」協議ができなかったことも事実である。
2 具体的な検討項目
? 合併時に想定した報酬
? 市長、副市長、教育長、部長等との比較
? 類似団体等との比較
? 本市議会における適正な報酬額
? 費用弁償の再考
? 政務活動費の再考
3 議会改革特別委員会での検討内容
(1)報酬について
・ 報酬の算出については、議員活動は不定期かつ長時間になる場合もあり、原価方式ではなく効用価値説的な方法で検討する方がよいと考える。
・ 合併協議会の決定事項を尊重し、段階的に50万円とすることが望ましい。
・ 類似団体との比較も、有効な参考資料となるので実施すべきである。また、平均と大きく異なるときは、その根拠をはっきりと示すことが必要となる。
・ 議員の報酬基準額について、全国市議会議長会では、次のとおり示している。
・ 市議会議員の報酬額は、局・部長制を施行している市にあっては、局・部長給に相当する額をもって議員の報酬基準額とすることを原則とする。
<出典:昭和44年2月5日 市議会議員の報酬基準額について(全国市議会議長会)>
※ 本市では、局・部長制を採用しており、令和6年4月1日現在の部長級平均給料月額は451,600円である。
・ 令和6年人事院勧告での引上げ改定についても勘案すべきである。
議会改革特別委員会での主な意見
・ 議員報酬については、現在、定数を35人から22人まで削減しており、議員のなり手不足が課題となっている本市議会に多様で有為な人材の参加が得られるよう50万円に戻すことが適当と考える。
ただし、市の財政状況等を考慮し、当面は現行の42万7千円から3万3千円
(7.7%)引き上げた46万円とし、本市議会が理想とする将来像を目指して、
課題解決のために可能な限り早い時期に50万円に戻すことが妥当と考える。
※46万円の根拠は、本市における部長級の平均給与月額451,600円に、令和6年度の人事院勧告引き上げ率(1.1%)を乗じ、万単位で四捨五入した数値である。
(2)費用弁償について
・ コンパクトな市域の射水市において、本会議等に出席したときの費用弁償(日額
2,200円)は、廃止すべきとする意見が多数を占めた。
・ 本会議等に出席したときの交通費の実費相当分を支給すべきとする意見が一部委員からあった。
(3)政務活動費について
・ 政務活動費については、地方自治法にも規定されており、議員が行う調査研究、住民福祉の増進を図るための政務活動を行う上で必要な経費であり、現行のとおり補助対象となる活動をした議員へ支給すべきとする意見が多数を占めた。
・ 一方で、補助対象が分かりにくい点や事務局の負担が大きいことなどの課題もあり、減額又は廃止すべきとする意見もあり、今後も必要に応じて、その在り方の検討が必要である。
第6 その他の意見
・ 議会、議員の活動量は、地方分権の進展や議会改革などで活性化すれば、必然的に増加すると予想され、報酬額も増額となるので、市民等への十分な説明が必要となる。
・ 生活給の考え方も考慮し、報酬面での適正化が図られれば、議員職がより魅力あるものとなり、議員を志す人を増やすことにもつながる。そして、若い人たちが議員活動に専念することができ、議員活動の基盤として安定したものになる。
・ 平成23年に議員年金制度が廃止されたことにより、議員は自助努力により老後の生活に備えなければならなくなった。今日、就業者の9割を会社員等が占めており、議員のなり手も会社員等からの転身者が期待される。現行制度では、議員が厚生年金の被保険者となることができないため、会社員等を辞めて議員になった場合、厚生年金加入を継続できなくなる。議員及びその家族の老後の不安をやわらげ、多様な人材が立候補しやすい環境の整備を図る観点から、厚生年金等の議員の社会保障制度を整備していく必要がある。
・ 本市議会が目指す将来像は、市民の負託に応え、適正な議会運営機能と行政の監視チェック機能を高め、更には政策提言を行う議会であり、その実現に向けて各議員が自己研鑽していくことが必要である。
第7 まとめ
議会改革特別委員会としての主な意見は、項目ごとに記載したとおりであり、今後、 射水市議会基本条例に基づく「目指す将来像」実現のため、適宜取り計られるようお願いする。