平成27年3月17日(火)
3月定例会最終日「射水市議会議員政治倫理条例の制定について」議員提出議案として二案が提案され、私が第1号議案の提出者として、第2号議案に対する「反対討論」を行いました。
以下、その文面を掲載いたしますが「射水市議会議員政治倫理条例」自体に関しましては、射水市議会のホームページから、その条例の中身・内容本体についてご確認ください。
平成27年3月 射水市議会定例会
議員提出議案第2号「射水市議会議員政治倫理条例の制定について」に関する反対討論
議員提出議案 第2号「射水市議会議員 政治倫理条例の制定について」に 反対の立場から討論をいたします。
今、定例会におきまして「射水市議会議員 政治倫理条例の制定について」議員 提出議案として二(ふた)案が審査をされております。
私は「議員 政治倫理条例の制定について」それ自体に反対するのではなく、二案のうちの議員提出議案 第2号 (以下、本案に つきましては「議案第2号」と申しあげます) について反対討論をする旨である事を、先ずご理解いただきたいと思います。
私は、「条例」とは 我が国の現行法制において、地方公共団体が国の法律とは別に定める自主法であり、日本国憲法 (以下、本法につきましては「憲法」と申しあげます) 第94条(地方公共団体は、(中略) 法律の範囲内で条例を制定することが出来る。)を、根拠とし、地方自治法 (以下、本法につきましては「法」と申しあげます) の規定に基づき制定されるものである。と、理解をしております。
議案第2号の提案理由説明の冒頭において『全国の多くの市町村は、地方自治の規定を越えた条例を制定している。』と、述べられましたが、先の通り「条例」は法律の範囲内において制定することが憲法に定められており、これに加え法第14条第1項に(「条例」は法令に反してはならない。)と、されていることからも、法令を 超えた 強制力を持った「条例」の制定は「許されていない。」と、いう事を先ず述べさせていただきます。
また、議案第2号の提案理由説明で『条例を明文化するに当たり、(制度疲労している)地方自治法を遵守する条例作成は、ややもすると作文条例になりがちである。』と、述べられましたが、「制度 疲労しているか、どうか?」は別にして、その趣旨及び昨年5月の「広島県府中市の市議会議員 政治倫理条例に係る 損害賠償請求 控訴事件」(平成22年(ネ)第536号)の 上告審において、最高裁は『本件条例は 地方公共団体の内部的自律権に基づく 自主規制としての性格を有しており、このような議会の 自律的な規制の在り方については、その自主的な判断が尊重されるべきものと解される』と、されていることなどは理解できるとしても、「政治倫理」ということに関しては、議会の「申し合わせ」であれば強制力はありませんが、条文に明文化することによる 影響として考えれば、法的文章は異なる解釈や混乱が生じないような 整合性が求められ、「誰から見てもその内容が同じ方向性を持って 判断できるもの」で、なければならないと考えます。
私が所属しております「自民議員会」が、4か月余りを掛け、 今回の「議員 政治倫理条例」のたたき台として、昨年の12月 定例会最終日にお示しした「独自案」を作成するに当たり、会派内で話し合われた問題点や私自身の意見を総括して、以下、議案 第2号に反対する理由を 順次述べさせていただきます。
議員提出議案の二案を比べ、特に違う点といえば、議案第2号における第5条(請負契約等の辞退)であると考えます。
第5条第1項では『議員が役員をし、若しくは実質的に経営に携わっている企業 又は議員の配偶者 若しくは2親等以内の親族が経営している企業は(地方自治)法第92条の2の規定(兼業の 禁止)の趣旨を尊重し、市等との請負契約等を辞退するよう 努めなければならない。』と、されていると同時に、第2項では『「実質的に経営に携わっている企業」に関しては、(1)議員が資本金その他これに準ずるものを30パーセント以上出資している企業。(2)議員が年額60万円以上の報酬を受領している企業。』などとされ 「2親等以内の親族」「30パーセント以上の出資」「60万円以上の報酬」という「外形標準的」な基準を示されている以上、 「それぞれの制限基準の根拠を明確にしなければ ならないのでは ないか。」と、考えます。
同時に、この範囲以外または基準以下であれば、条例違反として該当しないと考えられてしまい、規制の抜け道として利用されたりする恐れが あるのではないのでしょうか。
また、第5条第1項では、先に述べたように 議員が関係する 企業に対してのみ『請負契約等を辞退するよう 努めなければならない。』とされておりますが、関係する議員本人に関しては なにも課せられておらず、一体どのような場合に 議員が政治倫理 基準違反を問われるのか? 不明であると 言わざるを得ません。
もう少し具体的に申し上げれば、もし、先の条件の該当議員が 「法第92条の2の規定を尊重し、市民に疑惑の念を生じさせないために、関係企業に辞退届を提出するよう努めた。」と、いう場合において「関係企業がそれを無視して市等と請負契約を締結した。」と、しても、憲法22条第1項(職業選択の自由)および第29条 (財産権)に保障が及ぶと解される「企業の経済活動の自由」と、いう観点からすれば、「企業自体の請負契約を必ずしも制限できるものではなく、該当議員の行動も考慮に入れれば、何ら条例違反には問えない事になってしまう。」のではないでしょうか?
さらに申し上げれば、議案第2号における「2親等規制」は、 裏をかえせば「市と請負契約を結ぼうとする 企業の経営者を 2親等以内の親族にもつ市民は、議員にはなれない。」事を意味する。こととも 受け取られてしまうのではないか? と、思います。
私は、射水市議会を含む「議会の現状と地方自治の将来のあり方という事を考えた場合、多様な人材が議員になる機会を与えられるべきだ。」と、考えている者の一人であり、現状のこの議案第2号の規定では、議員の範囲をいたずらに狭くし、それによって将来議員となるべき有為な人材を失ってしまう可能性が生ずるのではないか。と、危惧をするものであります。
以上、議案第2号 第5条関係における問題点は、同じく第6条にも同様の事が言えるものと考えております。
次に2点目の理由として、議案第2号 第7条(審査請求)に おける問題点について でありますが「市民請求における署名者数の件」は、質疑においても答弁されておりますので 割愛する事に致しまして、議員請求という事に関して申し上げます。
議案第2号では『議員にあっては議員の定数の6分の1以上、 かつ2会派(所属議員が3人以上の会派による)に所属する議員の 連署をもって、審査請求することができる。』と、されております。
現在、我が射水市議会におきましても 二つの会派がありますが、会派が一つ以下の場合には審査請求ができない事態となってしまう事や、会派に所属しているか否かによって、議員としての「請求権」が 左右されてしまうのは「いかがなものか」と考えます。
また、議案第2号における「議員による審査請求権」の条件が 満たされていなくても、現行法制下で可能な「議員の政治倫理 基準違反に関して考えられる 議会の対応」として、例えば、 法第92条の2の規定「被選挙権の有無、兼業の禁止」に該当するか どうかという事に関しましては、法第127条に基づく「資格の決定」の方法があり、これは議員一人でも発議でき、本会議に おいて出席議員の三分の二以上の「特別 多数議決」によりこれを決定することになり、対象となる議員は議決の時点で 議員の資格を失うものであります。
さらには、法第100条に根拠を有する「調査権」、いわゆる 「百条調査権」につきましては、「議員の兼業禁止」に関することもその調査対象とした実例があり、?議員の動議、?議長発議、 ?議員 提出議案 で、発議できる事になっております。
また、議会の秩序を乱し、品位を損なった議員に対しましては、法第134条に基づく「懲罰」の方法により制裁を科すことも可能なのであります。
これらのように議員として、または議会として すでに政治倫理基準違反に関しての「調査権」などが認められている以上、 「請求条件などに問題があるのではないか?」と、疑わざるを得ない、議案第2号 第7条における議員の審査請求に 疑問を感じております。
以上、「議案第2号」第5条及び第7条に関係する ある意味 概念的な問題点と考えられる項目を指摘いたしましたが、この他にも制度上考えられる問題点として申し上げれば、議案第2号 第5条第3項において『議員関係者又は議員関係企業が、第1項の規定により辞退をするときは、関係する議員を通じて、議長に辞退届を提出するものとする。』とされ、第5項において『議長は提出された辞退届の写しを、速やかに市等の代表者に送付しなければならない。』と、されておりますが、企業はあくまで市等との「請負契約」を結ぼうとしているのであって、辞退届が正式に効力を発揮する 「提出先」はあくまで 市等と考えた方が妥当なのではないで しょうか?
議長(議会)は、そのこと(辞退)を確認できさえすれば「良い」のではないかと思います。
また、第12条 第1項における「当該請求議員」は一体だれを示されているのか? この文面からして理解しにくい点など、「条例」という法的文章である「議案第2号」で、こうした構成文が見受けられること自体に 不自然さを感じております。
以上、私なりに「議案第2号」への反対理由を 長々と申しあげ ましたが、私自身、この「反対討論」を作成するに当たり、改めて感じたことがあります。
それは今回、せっかく制定する条例なのでありますから、 『法の趣旨に反しないよう、市民の皆さんに誤解を受けないよう、政治倫理の抜け道とならないよう、そして、条例の運用に支障をきたさないように この「倫理条例」を制定すべきであり「政治倫理基準に違反しているか否かを形式的に判断すること」よりも「政治倫理基準にかなっているかを実質的に判断すること」で、基準違反を排除できるよう「立法の精神に鑑み、条例を運用する」以外に 道はないのではないか。』と考えます。
条例の規定がどのようなものであろうと、『私たち議員自身が 高い倫理観を持ち、自らを律しながら、誇りと使命感を持って 公明正大な市勢の発展に 寄与するように努めなければならない。』ものだと 改めて感じた次第でございます。
議員各位におかれましては、私が述べました趣旨をご理解いた だき、ご賛同を賜りますようお願い申しあげまして、議員提出議案第2号「射水市議会議員 政治倫理条例の制定について」に関する「反対討論」といたします。