
平成28年7月13日(水) 衆議院議員会館 会議室
講師:橘 慶一郎 衆議院議員
財務省主計局 主計官(厚生労働第二担当) 廣光 俊昭 氏
研修テーマ「我が国財政の現状と課題」及「経済・財政再生計画と社会保障」について
国の一般会計における歳入および歳出の状況を考えた場合、我が国の財政は歳出が歳入(税収およびその他の収入)を上回る状況が継続をしている。
特に平成20年度以降、景気の悪化に伴う税収の減少などにより歳出と歳入の差額が拡大し、その差は借金である公債(建設公債・特例公債)の発行によって補われているのが現状と言える。
もっと具体的な比較と言う事になれば、例えば平成2年度(赤字国債発行から脱却した年度)と平成28年度における国の一般会計歳入歳出を比較した場合、予算規模において、平成2年度が66.2兆円、平成28年度が96.7兆円と30.5兆円程の差があるが、歳入のうち税収はと言うとそれぞれ約58兆円ほどでありほとんど差はないものの、平成2年度には無かった「特例国債」が平成28年度には28.4兆円もあり、この公債金で歳入不足を補っている状況である。
歳出では社会保障費関係予算が平成2年度の11.6兆円から32兆円に、国債費が14・3兆円から23・6兆円にと、それぞれ大きな伸びを示している状況である。
また、我が国では人口に占める高齢者の割合が増加する高齢化と、出生率の低下により若年人口が減少する少子化が同時に進行する「少子高齢化社会」と言える。
15歳〜64歳までの生産人口のピークは1995年であり、約4人に3人(72%余り)がこの年齢層であり、高齢化率も14.6%だったものが、現在は生産人口が約63%、高齢化率27.5%。65歳以上の人口がピークになるであろうと考えられている2040年には生産人口が約55%、高齢化率が何と36.1%になるであろうと推計されている。
こうした社会保障費や国債費の推移。少子高齢化が進むなかでの人口構成の推移や医療や介護における国庫負担額の現状をお聞きしたうえで、「経済・財政再生計画」における社会保障改革の基本的な考え方と時間軸(スケジュール)についてレクチャーを受けた。
国のみならず本市においても、今後大きな課題になるであろう「2025年問題」も含めた対応の重要性をあらためて感じた次第である